2012年9月19日水曜日

続けるということ



エンポリオ・アルマーニの2012a/wの広告が好きだ。夜の新宿と美しいモデルたち。
それと共通する魅力を持つのが、GINZA2012/2月号「RUNWAY in the APARTMENT 歩く女」
今月のGINZAの「朝のコート」特集もいい。

言葉と言葉をつなぎあわせた時に、摩擦が起こり、物語が生まれる。
その摩擦にいつまでも敏感でいたい。

ハイソサエティなものと、大衆的なものの組み合せにより生まれる物語は、色っぽい。
着飾り加工した、無機質のように美しい人を、大衆的な風景の中に組み込むと、見栄えだけでない美しさが滲み出る。
色気は、ハイソサエティの世界だけでは生まれない。もっと荒廃的なものだと思う。
モデルやカメラマン、ディレクター、そして見る側の個人的な記憶やそれにまつわる感情が
背景によって呼び起こされ、そして写真に焼き付く。

荒廃が何故色気を含んでいるかというと、歴史を持っているからだろう。
生まれたばかりから荒んでいることはきっとない。性善説のようだけど。
いいか悪いかというよりは、生まれたばかりは何も知らない。無知から色気は生じない。
経験を経て、知識を得て、感情が生まれ、蓄積された感情が身体からにじみ出る。
それが色気となるか、何になるかは、蓄積された感情の種類に依るのだろう。

年を重ねるのは素晴らしいことだ。
若い頃、喉から手が出るほど望んでいたオリジナリティを身体で表現できる。
若いうちに他人と自分に差がないように思えても、それは仕方のないことだ。
ただ、若いうちに経験を重ねることを疎かにしてしまうと、年を重ねてからツケがまわってくる。
20代は何事もがむしゃらに、丁寧に、やり遂げる。

と自分に言い聞かせています。


先週末DESIGNEASTに行ってきました。
名村造船所跡地、古い建物でとてもかっこよかった。

特に楽しみにしていたのは、建築家 藤村龍至さんと社会学者 鈴木謙介さん(チャーリー)の対談。
「日本列島の状況 建築・建築家・都市をめぐる批評と予言」
列島改造論については、「日本2.0」でぱらぱらと読んだのですが、
私には難しかったので、今回話を聞けてよかったです。

今回の対談の中で、
「建築は庭づくりのようなもので、剪定し続けていかなくてはならない。
そのためには、様々な人とコミュニケーションを取り続けていかなくてはならない」
という話があって、ちょっと感動しました。

先々週くらいに行った、「ほしいも学校」のトークは、地方住民の方と関わりながら、
ほしいも学校を作られた佐藤卓さんや、
オーナー制の茶畑プロジェクト等を進めている山中史郎さんのお話でしたが、
お二人とも、地方でプロジェクトを始める場合の、じっくり取り組むことの大切さを言及されていました。

色気の話もそうですが、時間をかけて築くことに対して、魅力を感じる。
人間関係も、作品も、社会も。

でも最近は、インターネットにどっぷり浸かっているからか、長年ひとつのことに時間をかけて、
丁寧に考え、コミュニケーションを取り続けることに縁遠くなっている。
インターネットは花火のように、目立つ情報が表れては消え、表れては消えていく。
常に新しいことに挑戦し続けないといけない気がするし、継続には飽きられないことが命題となる。

良い暮らしを作ることは、それと相反していて、日々同じことを繰り返し、熟成させる。
最近、コミュニケーションを継続して取り続けることの大切さを、聞く機会が多いのも、
築くことの大切さを見直す機会が来ているように思います。
私は、一体どんな歴史の一部に関わることができるのだろうか。
コミュニケーションの中で何を与え続けられるのだろうか。


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