2013年9月30日月曜日

「ウェブ社会のゆくえ」読書会のはなし

しばらく 空いてしまいました。
告知・ご連絡もありますが、まずは備忘録もかねて日記から。

今週末は密度の濃い、充実した時間を過ごしました。

土曜日は、関西クラスタ・GACCOH・文化系トークラジオ Life 共催の
鈴木謙介さん(以下チャーリー)の新刊「ウェブ社会のゆくえ」の読書会に行ってきました。



ウェブ社会のゆくえ―<多孔化>した現実のなかで (NHKブックス No.1207)
ウェブ社会のゆくえ―<多孔化>した現実のなかで (NHKブックス No.1207)鈴木 謙介

NHK出版 2013-08-27
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>amazon記載の内容紹介
会議中やデート中、目の前の相手がSNSを見始めたら?
スマートフォンが飛躍的に普及した今日、ウェブの情報空間がリアル空間と結びつく
「多孔化」は、私たちの生きる現実を大きく変容させ、社会のつながりを揺るがしつつある。
いま、最も注目される社会学者が、「ソーシャルメディア疲れ」する若者の自己の有り様から、
震災以後の日本社会の共同性の危機まで、多孔化した現実のゆくえを探る、待望の書き下ろし!


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●本を読んだ時点での感想
この本の最後に20年後の子供たちが成人した頃の社会に向けて、と書かれていたけど、
きっとその頃の親の世代が今の私たちの世代だろうと思う。
対面している時にスマホを使用する世代の私たちが結婚して、家庭を作った時、
家にいる時間にスマホを使わない、SNSを使用しないということはありえないと思う。
今はまだ、「子供はスマホを使うけど、親世代は使わない」ケースも多いだろうけど、
20年後は「親も子供もSNSに常にアクセスしている」ようになるかもしれない。
例えば今まで家庭内にあった団欒の時間は、各々がスマホないし情報端末を使用している時間になるのだろうか。
それでいて、instagramやそれに瑞するもの、ブログ等に子どもの写真や家族の写真を
アップするのではないかと思う。
家族=プライベートではなく、外に向けて見せるものの一面も含むようになる。
そこで発信される写真は、他者から見て羨ましがられる家族の姿を演出するだろうけど、
そこで出来上がる「理想の家族の形」が、「仲良し」「コミュニケーションがとれている」の場合、
現実と理想の差がますます拡がっていくのかな、と思った。
私自身は、恋人が携帯ばっかり触っていても特に不満を感じないけど、
今後築く家庭に会話がなく、全員携帯を触っている状況はさみしいなと思う。
自分が築きたい理想の家族像とは、家族が揃って話しながら食事をとることで、
きっとそれを叶えるには、既存の家庭のイメージに縛られず
新たにルールを考えていく必要があるように思う。
そのルール作りってどうしたらいいんだろう、と心配になった。

●読書会後の感想
読書会のトークタイムで、まさにその話がでたのが嬉しかった。
チャーリーの回答はいくつかあったけど、「各家庭で考えること」が前提だった。
これはその通りだと思う。
新しい家族の定義やルールは外側が定めることはできない。
人間関係は当事者が構築していく他はない。

ただ、今後の家庭の形は、よほど禁圧する型の家庭を除き、多くの家庭が多孔化していくだろうし、
そうなった時に全ての家庭がその場で考えること、対策を講じることは難しいかもしれない。
多くの問題が起こってから考えることは不安だし、
問題が解決できない事態にまで至ってしまうケースもあると思う。
家庭でのみ考えていくのは自分の能力に不安があるので、
今後の家庭の形の予想(女性の勤務体系も含めて)や、そこでの子供との向き合い方、
多孔化する中で心地よい家庭の作り方の考察を読む機会に今後恵まれれば嬉しい。

二次会の場で話していた時に、親が子供の話を聞かなくなることで
アダルトチルドレンのような子供が増えるんじゃないかという意見もあって、
なるほどなと思った。
親が自分に構わず携帯ばかり触っている姿を見て、インターネットが嫌いになる、
アンチネット世代が出てきてもおかしくない。
電車の中でも、子どもが話しかけているのに、
子どもの方を見ず携帯ばかり触っている親を見る事が多々ある。

インテリア雑誌の中の理想的住居の写真に、情報端末が一切出てこないという話は、
まさに現代のジレンマが表れていてとてもおもしろかった。
今後インテリア雑誌を見る時意識しておこう。

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そして読書会のこの日は、関西クラスタの方々に久々にお会いできてとても嬉しかった。
いつになく大規模なイベント(100人弱→100人超えてたらしい)で、関西クラスタが結成してから今まで、
たくさんの人を引っ張って、繋げてきた結果だと思う。
チャーリーの最後の挨拶、今がすべてではなく、時間をかけることが希望の種というのは、本当に素敵な言葉だった。
きっと関西クラスタも、ここに、そしてこれから先につなげる為に
たくさんの人が種の世話をしてきた結果なんだろうな。
様々な大学の社会学者の方々や、熱心に勉強されてる方の話を聞ける環境を
作ってもらえるのはとても勉強になってありがたいことだと思う。
そんな感謝もあり、学びの興奮もありの素敵な土曜日でした。