2017年9月11日月曜日

夜に向かって歩く


30歳になった今、ここまで将来がまるで見えない状況に陥るとは思わなかったし、明日の予測もたてられない現状を、せっかちな自分が我慢していることに驚く。
明日が見えないというのは、絶望的な気持ちのなかで毎日を生きる気持ちだけど、振り返ると案外美しい日々が散らばっていたりして、なんだか不思議な気持ちになる。
日々闇雲で、なんてしんどい年なんだと思いながらも、今年一年の幸せな記憶はたくさん残っている。

昨日と今日しか明確なものがないけど、一方で、過ぎたことは不変となるので、昨日にまで絶望しない様に、目の前のことに誠実に向かいあうしかないとひしひしと思います。
とりあえず、明日の仕事をがんばろう。

今年読んだ本でよかったのは、ジュンパ・ラヒリの「停電の夜に」。
ちょうど同時期に森美術館で開催されていた「N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅 」と相まって、今年はインドに行きたい欲が高まった。
最近では、ケン・リュウの「紙の動物園」も素晴らしくよかった。
全て、移民であるとか、マイノリティー文化をマジョリティ文化の文脈に上手くのせているものばかりで、それでも皮肉的ではなく、愛おしい生活が描かれている。
この3つの作品群に出会えて今年は本当によかった。やはり文学も含めて芸術は人を救うものだと、今年は体感した。
私を私から遠ざけるものが、自分の生きている世界から遠ざけるものが、個人としても、社会としても必要なのだと思う。